最初の矜持



長老シリーズ
ヒマラヤ水晶なのだけれども
おそらく日本に初めて入ってきたロットのひとつ

きれいなのはたくさんあったけれども
その頃はとても買えず
これがなんとかだった気がする


傷だらけだけれども
なんともいえない佇まいがあって
でも、なんだろうなぁ
ちょっと向き合うのに勇気がいるような
ただ事ならない雰囲気があった


高い山に雪のない時期
数ヶ月だけ登ることができて
手掘りした石を
背負って降りてくるのだと聞いた

そんなプロセスを経て
石がここまで来るのかというのを
初めて知った石だったかもしれない


最近思うのは、長年手元にあるのに
いまひとつ関わりきれていない石って
時間の縛りがほどけて
触れようとしたら掴むことのできる
どこかの人生での一部のようだ


使い切るためのはじまり
そしてまだ知らぬ何かに向かって